「あな読み」は元々小学校6年生の授業で使ってもらおうと思っていた

 あなたの英語が通じないのは、発音が悪いからではなく、読み方を間違えているからシリーズは、元々は、英語が小学校の正式な授業科目になることが決まった時に、英語に自信のない小学校教員の負担を減らそうと、小学校の授業で先生も生徒も一緒に英語の発音やつづりを学んで練習できる教材という目的で、作りました。この考えは、徳島県の鳴門教育大学の畑江美佳からいただいたアイディアです。

 そのためにまず、試作品を作り、福島県の神指小学校さんの小学校6年生のクラスで、実際に授業で使っていただきました。自分で言うのもなんですが、子供達には非常に好評だったと思います。音楽をたくさん使っているので、子供達は喜んで歌ってくれていました。私としても楽しい時間でした。また、アメリカ生まれのALT(Assistant Language Teacher 外国語指導助手)の先生からも、「日本人への発音指導の仕方が学べる」とおっしゃっていただきました。そのALTの先生は小学校以外でも英語のレッスンをされているので、自分のレッスンでも使わせてほしいと言っていただきました。そして、肝心のレッスンの成果ですが、たった12回のレッスンでも、単語を読むだけなら、完璧にかなり近い発音になった子達もいました。(今後もっと科学的に分析し、学会などで発表していく予定です。)

 しかし、問題も見つかりました。やはり実際に試してみると、良かれと思ってやったことが実は裏目に出てしまうということはあるものですね。実際にやってみると何事でも予期せぬ事態が起こるものです。その問題は、こちら→教員も生徒もハッピーになるには?

 また、学校では文科省のカリキュラムをこなさなければならず、正式に授業に取り入れるには、文科省に相談しなくてはいけなくなります。今の私には、それだけの人脈が、残念ながらまだありません。やはり、発音系や語学教育系の学会では、新しいレッスンを試してその成果があることは証明された、という発表は多いのですが、ではそれを実際にどうやって授業に取り入れるか、というところまではなかなか辿り着けないのが現状です。効果的なレッスンだから、じゃあ使ってもらいましょう、とはならないのですね。大学の先生達にとって、指導や研究は本業なので、効果的なレッスンを作ることは得意ですが、それをどう広めるか、どう社会に定着させるかは、残念ながら専門外なのです。教員や研究者以外の方達の協力が必要となってきます。

 これらのさまざまな理由から、実用化には結構クリアしなければならないハードルがあるとが判明したので、小学校の授業で使っていただくことは一旦ストップし、少し方向性を変えました。年齢層に関しては、小学校高学年から、中学、高校、大学、社会人、シニアといった、特に年齢を問わない設定にし、留学、仕事、海外旅行など、英語を実践でちゃんと使いたい人の手助けになるという方向性に変えました。また、少し地域貢献もできたらと、背景を、主に私が育った東久留米市の黒目川付近にしました。私の小学校のすぐ裏を流れている川です。地元愛です。

 まずは、埼玉県の十文字学園女子大学の設楽優子先生という方に、大学生の英語教員養成という目的で使っていただけることになりました。将来の教員の方達に知っていただけることは、非常にありがたいことです。偶然にも、十文字学園女子大学は埼玉県新座市にあります。新座市は東久留米市とも接していて、黒目川は東久留米市を出た後、新座市を横切るので、どこか東久留米市の続きのような雰囲気のある自治体です。この機会に学生達にも黒目川を楽しんでもらえれば幸いです。

 ところで、レッスン動画の中で、「一つずつ読んでみよう」と言って、その後に爆発音が流れるシーンが毎レッスンあります。元々は「1人1つずつ読んでみよう」の後で爆発音が鳴るようにしていました。これは、小学校の授業で使っていただいている時に、「教室の全ての生徒が、1人1つずつ読んでいく」という設定だったのです。みんなの前で読むのは緊張するから、緊張するシーンということで、爆発音を入れました。実はその後に「間違えても大丈夫。誰も笑う人はいないよ。」「間違えたら、誰かが助けてくれるよ。」「もし友達が困ってたら、みんなで助け合おう。」というフレーズも、試作品には入っていました。

 もうひとつ、「ヴィデオを止めて、ちょっと考えてみよう」という部分がよくありますが、これは試作品では「ヴィデオを止めて、ちょっとみんなで話し合ってみよう」でした。やはり、教室で使っていただいている時に、子供達に話し合って自分たちで色々考えてもらう時間を作るという目的でした

 日本人講師のレモンさんの日本語のしゃべり方や、カナダ人講師のメロンさんの英語の喋り方が、子供に話しかけるような口調になっているのも、元々は小学校での教材を想定していた名残です。 

 このように、小学校の教材だった名残が少し残っています。

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