フォニックスの「アブクド読み」の注意点1:この名称は誤解を招かないだろうか、、、

 英語のABCDの読み方を、「アブクド読み」または「アブクドゥ読み」とよく言いますが、これは誤解を招くのではないだろうか、とどうしても考えてしまいます。(ABCDだけではなく、Zまでの26文字のEnglish alphabet全ての読み方を解説しているものです。)

※決してアブクド読みが悪いと言っているのではなく、注意点も理解した上で正しく使って、「効果を最大限に発揮しましょう」ということです。

まずAの読み方は英語では「ア」ではありませんからね。これが結構通じない原因なのですよね。”absent”と言ったつもりが、ネイティブには”upset”だと思われたり(実は)、”map”と言ったつもりが”mop”と聞きとられたり(実は)、日本人からすると思いもよらない単語に聞き取られてしまったりします。逆に日本人の耳に「ア」に聞こえる音のつづりがAだと思ってしまうことも問題なのです。基本、Aではないんです。

さらに言えば、Iも「イ」、Oも「オ」というように、日本語のローマ字読みにしてしまっている傾向があるようですが、英語では I は決して「イ」ではなく、Oも決して「オ」ではありません。これも意外に通じない原因です。ちなみに、AもIもOも、難しく考える人が多いですが、発音そのものは超簡単です。少なくとも母音の聞き分けは実は超簡単で、すぐできるようになります。

 

次に、B, C, Dを、それぞれ「ブ」「ク」「ド、ドゥ」と読むと、これらには「ウ」とか「オ」という母音が入っています。ここでよくやってしまうのは(以前の私もやらかしてしまいました)、B, C, Dを子音だけで発音しようとした結果、実際には「ブ」「ク」「ドゥ」と「ウ」の母音が入っていることです。でも安心して下さい。英語も、基本的には子音だけで発音することはなく、必ず母音を付けて発音します。これは他のフォニックスの先生も指摘しています。

「何を言ってるんだ!”bad”とかの”d”は、子音だけで発音するんじゃないのか?」と思うかもしれませんが(私も昔はそう思ってましたが)、「子音だけで発音する」ことと「子音で終わる」ということは、全く別物なのです。両者を決して混同してはいけません。”bad”なら、“ad”の部分だけで1つの母音というくらいのイメージです

 

では母音を入れて発音するとなると、日本人の感覚だと、B, C, D, F, G, K, L, P, S, T, V, Zは、「ブ」「ク」「ドゥ」「フ」「グ」「ク」「ル」「プ」「ス」「トゥ」「ヴ」「ズ」、と基本的に「ウ」の母音を付けますが、Hは「ハ」と「ア」を付け、Jは「ヂ」と「イ」を付けたり、母音が一貫していません。これは結構トリッキーですね。さらにNやMだと、教材によっては「ンヌ」「ンム」のようにトリッキーな書き方をしていたり、R, W, Yも教材によってトリッキーな書き方になっています。また、教材によって「ブッ」のように、小さい「ッ」が付いていることもあり、これも英語の発音を複雑そうに見せてしまっていると思えてなりません。

 

一方、英語では[bə, də, fə, gə, hə, dʒə, kə, lə, mə, nə, pə, ɹə, sə, rə, və, yə, zə]というように、一貫して[ə]を付けます。いわゆる「母音挿入」のデフォルト(初期設定)が、英語では[ə]だからです。フォニックスで言うshort uです。

だから、B, D, F, G, H, J, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, Y, Zは、日本語的に書くなら一貫して「ア」を入れて、「バ」「ダ」「ファ」「ガ」「ハ」「ヂャ」「カ」「ラ」「マ」「ナ」「パ」「ら」「ヴァ」「ヤ」「ザ」とするべきではないでしょうか。そして、「ン」とか「ッ」とか「ー」とか小さい文字とか、複雑そうなものは一切入れる必要はないでしょう。これならものすごくシンプルです。実際英語の発音は日本語と同じくらいシンプルなのですから。LとRの区別だけはちょっと書き方が難しいですが。

Cの読み方には、いわゆるHard CとHoft Cが有り、Hard Cの読み方はKと同じなので「カ」、Soft Cの読み方はSと同じなので「サ」(例、”cycle”の1つめのcはSoft CだからSの読み方、2つ目のcはHard CだからKの読み方)。

 

せっかく「ア」を入れるわけですし、日本人にもっととっつきやすくするには、B, D, F, G, H, J, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W, Y, Zは「バ行」「ダ行」「ファ行」「ガ行」「ハ行」「ヂャ行」「カ行」「ラ行」「マ行」「ナ行」「パ行」「ら行」「ヴァ行」「ヤ行」「ザ行」と言えば良いのではないでしょうか?実際そういうことですし。

「いやいや、そんなことはない!日本語には必ず母音が付くけど、英語は子音だけで発音するから!」と思う方が多いかもしれません(私も昔はそう思ってました)が、それは前述のように大きな間違いなのです。英語も必ず母音が付くのです。前述のように”bad”などの「子音で終わる」ということと、「子音だけで発音する」は全く別物です。私もこれを知った時は衝撃的でした。(でもこの感覚を理解するのは日本人には非常に難しいのです。でもコツがあります。詳しくはあな読みで。)

だから英語の子音もまさに日本語の「バ行」「ダ行」と同じような感覚でいいのです。超簡単!

 

確かにSとかFとかのような摩擦音や、MやNのような鼻音、LやRのような流音といった、子音自体を伸ばせるものは、やろうと思えば子音だけで発音することはできます。実際英語ネイティブもそうやって子音字の読み方を教えてくれることはあります。でも実際の単語の中には、子音だけで発音することはありません。例えば”bad”のdも、その前の母音aにくっついて初めて発音できるということです。これが大事です。

ということで、「アブクド読み」「アブクドゥ読み」は、個人的にはあまりお勧めできる言い方ではないですね。そこで、代わりの言い方を提案しているので、よかったらこちらを見て下さい。→あな読みレッスン10.5 フォニックスとは何か?活用法は?注意点は?

 

まとめ:

●英語のAは「ア」ではない。I は「オ」ではない。Oは「オ」ではない。でも発音そのものは超簡単だから安心して下さい。

●英語の挿入母音の基本は[ə]なので、「ブ」「ク」「ドゥ」と「ウ段」にするのではなく、「バ」「カ」「ダ」と「ア段」の方が良い。

 

次は→フォニックスの「アブクド読み」の注意点2:英語の全ての音素を網羅していない

 

 

全く関係ありませんが、福島県には「阿武隈川(アブクマ川)」という川があって、ちょっと「アブクド読み」の「アブクド」と響きが似てますね。東北自動車道には阿武隈PAというちっちゃいパーキングエリアがあり、磐越自動車道にも阿武隈高原SAがありますね。どちらも行ったことありますよ。

阿武隈パーキングエリア
阿武隈サービスエリア

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