英語発音技能検定 EP-Pro®︎ 1級について。どう対策する?減点の具体例

 前回、英語発音技能検定EP-Proの2級について書きました。ここに基本的なことを書いたので、受験を考えている方は、こちらも読んでいただければ幸いです。何かのお役に立てればと思います。→英語発音技能検定EP-Proの2級について。どう準備する?

 

 まず1級と2級で違うのは、ただ読むだけではなく、15秒程度で自分で考えたことをしゃべらないといけない課題があることと、段落を感情をこめて音読しないといけない課題があることです。音読の練習は日頃からある程度やっておいた方がいいと思います。またフォニックスの問題も、単語が難しくなっています。でもAからZまでのいわゆるアブクド読みのドリルに日頃から慣れておけば、問題ないでしょう。

 問題を教えることは規約違反のようなので、もちろんできませんが、どうやら1回1回問題が異なるようなので、仮に問題を教えた所で、みなさんの問題は私と同じ問題ではないので、直接の手助けにはならないでしょう。(特級を受けた時に、1回1回問題が異なることが判明しました。)

 語彙や文法のテストではないので、英語が変だった場合にどれほど減点の対象になるのかはわかりませんが、2週間の提出期限までに英語をチェックしてくれそうなネイティブに会う機会がない場合でも、今は便利な世の中になったもので、チャットGPTで「以下の英文で不自然な部分を、ネイティブのような自然な英語に直して下さい。」などと書けば、訂正してくれます!これは便利です。使っていない人は、是非使って下さい。

 

 そして、またEP-Proの公式インスタグラムで、1級の条件をチェックしておいて下さい。

 →1級のレベル

 →1級合格基準

 →2級から1級 チャレンジするめやす

  

 135点満点ですが、公式インスタグラムに示されている通り、120点以下の合格者のいるそうなので、ある程度のミスは許されそうです。少しミスしたからと言って、そこでメンタルを崩さず、その後のパフォーマンスをしっかり行うことが大事かもしれません。

 

 私も1級を受けてみました。私の場合は、録画時間は、2:46秒、動画ファイルのサイズは249MBでした。試験時間は、2級とあまり変わりませんでした。夏ですが、録画中は念の為冷房を消しました。「何度でも取り直しして良い」と書いてありますが、現実は1回撮るだけで結構体力と精神力を使うので、1日にそう何度も取り直せるものでもありません。。。結構緊張します。でもこの緊張感を逆に楽しみながらやると良いでしょう!ミスを恐れてビクビクするより、強気でやる方が自分の実力を発揮できる気がします。少なくとも自分の場合、「ミスをしないようにしないように」と考えると、余計ミスしやすくなります。。。何度もやってるとどんどんおかしくなることもあるので、ちょっと別なことをして何時間か間を空けるか、日を改める方が良い場合もあります。

 

さて結果は、、、

 

 

 無事合格しました!!

 総合評価として「全体を通して、しっかりと安定した正確な発音でした。文章のイントネーション、間、リズムやスピードなども完璧でした。」と言っていただけたので、よかったです。

 しかしやはり1級ということで、少し減点されました。以下、減点されたポイントです。みなさんが同じ失敗をしないように、参考にしていただければと思います。

 ●「and の後に余分な音がついてきた」というのが2箇所ありました!(-0.3ポイント×2)「まさか自分が、子音の後の母音挿入などという初歩的なミスをするはずがない!」と高を括っていましたが(笑)、ネイティブ1人とバイリンガル2人の審査員の方に聞こえたのだから、余計な音節が入っていたのでしょう!確かに1音節余分にあるように聞こえるかもしれません。対策として、次の特級受験の時は、andのdを発音せず、an, un, enのように、dを発音しないことにしました。(←これでうまくいきます。ただnを、日本語の「ん」と発音しないように注意して下さい。←1級を受けるレベルの方には無用の心配かもしれませんが。)

 ●例えば、ageなどのような、音節末の/dʒ/の音の後に/t/などの無声音が続いた時に、/tʃ/のように聞こえてしまったようです(-0.3ポイント)。音節末の/dʒ/を有声音にするように注意です。

 ●「all の音。owl のような音に聞こえた」(-0.7ポイント、ちょっと痛い)。実は以前、[ɔːl]と発音したつもりが、ユタ州出身のアメリカ人の友達に/oʊl/のように聞こえると言われたことがあったので、[ɔːl]よりももっと舌を前よりにして[ɑːl]のように発音することを意識しましたが(音韻的には/ɑːl/なので)、裏目に出てしまったようです。過剰修正をやってしまいました。allは、[ɑːl]でも[oʊl]や[oːl]でもなく、[ɔːl]のような音にするのが無難でしょう。でも全てのallやallの音を含む単語が減点されたわけではなかったです。減点は1箇所だけでした。

 ●「prettyのe の音がやや長め」(-0.3)。自分の音声を聞いてみましたが、「やや長め」というのはどうやら長さのことではなく、つまり「リズムが悪い」「ストレスを置きすぎている」というプロソディーの問題ではなく、prettyのeは綴りはeですが、実際の読み方はつづりと違って、フォニックスでいうショートI(つまり/ɪ/)なのですが、自分の発音ではロングE(つまり/iː/)のように聞こえていました。ショートIが、ロングEっぽく聞こえているミスという意味、つまり違う音素のように聞こえるミスという意味だと思います。自分ではちゃんとショートIを発音したつもりでしたが、prettyのyがロングEなので、それにつられてロングEっぽくなってしまったのかもしれません。。。自分で録音して聞いてみないと気づかないものです。

 ●「you are ( you’re になっていた )」(-0.7)。これはもったいない凡ミス、unforced errorです!確かに自分で聞いたら、ハッキリyou’reと言っていました。you areと発音したつもりが、聞き手にyou’reに聞こえてしまったのではなく、you’re(弱形のyer)と言ってしまっていました。自分ではちゃんと文字通り読んだと思っていましたが、無意識に省略形で読んでしまっていました。でもこれでわかったのは、ちゃんと書かれている通りに読み、省略形ではない所は省略形にしない、ということが大事です。日本語で「しています」と書かれている所を「してます」と読んだら、減点の対象になるようなものでしょう。こういうunforced errorをしないように気をつけて下さい。

 

 嬉しかったのは、一番緊張した、感情を込めて読むパラグラフで、満点だったことです。「リエゾンもほぼ完ぺきで、抑揚のつけ方や感情の込め方、間の置き方もとても上手です。Great work! Keep it up!!」と評価されました!自分で動画を見て、ちょっとやりすぎだったかなと恥ずかしくなるくらい表情の変化とかを付けたのが、功を奏したのかもしれません。(笑)いや、表情はあまり採点に関係なかったかもしれませんが。評価の基準は残念ながら詳しくわかりません。

 全体的に、音素のチェックに厳しい印象なので、全ての音素を正しく発音することは必須だと思いますが、感情を込めることに関して、これが点数としてプラスになるかはわかりませんが、例えばイントネーションが下降調↘︎なら、最初を少し低い所から始めて上昇下降調↗︎↘︎のようにする、平坦調→なら、同じく最初を少し低い所から始めて上昇平坦調↗︎→のようにすると、感情がこもっているように聞こえるので、これを意識してみました。これをやるかどうかで加点、減点にどうつながるかは残念ながらわかりませんが、やる価値はあると思います。以下に、[mɑː]で下降調↘︎と上昇下降調↗︎↘︎、Englishで下降調↘︎と上昇下降調↗︎↘︎の違いをやってみました。こういうイメージです。

 

ついでですが、指導目的では、ゆっくりはっきり各音素が聞き取れるように発音した方がいいですが、

1級や特級を受けるなら、自分自身はある程度速い発話、特に、軽音の機能語の母音をショートUにしたり、子音を脱落させたり同化させる発音を、できるようにしておく必要があるでしょう。生徒さんからそういう質問をされることもありますし。

私は例えばこの動画(4:23くらいから)などで練習していました。よかったらやってみて下さい。

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