中秋のmaggots(名月)
昨日(9月17日)は中秋の名月で、満月は今夜だそうです。東京は昨夜の天気は悪くなく、美しい名月が見れてよかったですね。今夜も見ようと思います。
さて、北米英語では、地域によってはmaggots(うじ虫)の発音は、日本語の「名月」に聞こえます。
論より証拠。まずはこの動画の30:40のあたりをご覧ください。As you describe it, like maggots. 「名月」が聞こえませんか?(笑)
maggotのつづりをなんとなく日本人の感覚でローマ字風に読むと「マゴット」か「マッゴット」あたりになってしまって、ここからとても「名月」はイメージできませんよね。
辞書の発音記号を見ても、maggotは /mæɡət/となっていて、これを見るとなんとなく日本人の感覚だと「マガット」とでも読みたくなってしまうので、「名月」にはちょっと結びつきませんよね。
実は、まず英語の/g/や/ŋ/は、日本語のガ行の子音よりも、舌(の奥)が口の天井に付く位置がもっと前よりなのです。英語の/g/や/ŋ/はもっとヤ行の子音のあたりの近くで、舌と口の天井がくっつきます。なので、/æg/や/æŋ/、フォニックスでいうショートA+G又はNGの時には、舌が/æ/から/g/や/ŋ/に移動する時に、音声的には自然にヤ行音というか、簡単に言うとイが入ることも多く、[æig]や[æiŋ]のように発音され、地域によっては完全にフォニックスでいうロングAになって、完全に/eɪg/、/eɪŋ/になります。(私の「ミナ表3巻」では[æig]などの音声も含め詳しく説明していますが。)私もカナダにいた時によくこの発音をよく聞きました。
英語の方言のスペシャリストであるLabov, W., Ash, S., & Boberg, C. (2006). The atlas of North American English: Phonetics, phonology and sound change.によると、/æg/が/eɪg/になってることは、Zellerというアメリカの言語学者がカナダのトロントにいる時に気づいたそうで、アメリカでも1990年代には少なくともウィスコンシンやミネソタでは /æg/が/eɪg/だったそうです。
また、/ə/は日本人の感覚だと「あ」というイメージですが、実際は日本人の耳には「え」に聞こえることもあります。その理由は私のYouTube動画、「/ə/と/ʌ/の発音はネイティブにとって同じ?」で説明しているのでよかったら見て下さい。(「ミナ表2巻」でももっと詳しく説明しています。)
つまり、/æ/は「えい」に聞こえ、/ə/が「え」に聞こえるなら、/mæɡəts/が「名月」に聞こえるのも全く不思議ではないですね!
「中秋のうじ虫」ですね。なんか嫌ですね。。。ムードをぶち壊してしまってすみません。